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GOLGOのひとりごと

決断力の正体を探る

2025.04.30

私たちは日常的に「決断力」という言葉を使います。

それは「行動力」や「意思決定力」、「グリット(やりぬく力)」に似ていて、しばしば「思い切り」や「度胸」といった精神論的な語感で語られることもあります。

たとえば「昼ごはんにうどんか蕎麦か」――そんな選択ならば、即断即決が「できる人」の証とされ、迷う人は「腹が括れない」などと評されることもあるでしょう。

しかし、それが経営判断だったらどうでしょうか。

自社の進出市場や大規模な投資判断、あるいは事業撤退の是非。
こうした「本物の決断」は、単なる思い切りで片づけられるものではありません。むしろ、そこには膨大な情報収集と、深い思考の格闘といった「知的なあがき」が存在するのです。そこを紐解いてみようと思います。

第一の条件:情報収集力
質の高い決断には、まず「情報」が不可欠です。
的確な論理的思考を行うためには、前提として材料が揃っていなければなりません。かつてはこの「情報収集力」そのものが競争力の源泉でしたが、インターネットとAIの普及により、今や多くの人が似た情報にアクセスできる時代となりました。

つまり、情報だけでは差はつかなくなったのです。

第二の条件:論理的な状況分析力
次に求められるのが「分析力」、つまり論理的な思考です。
ビジネススクールで学ぶフレームワーク――ポーターの「5つの力」やSWOT分析など――は、まさにこの領域をサポートするツールです。

たとえば山口周氏は著書『人生の経営戦略』において、自らが電通を退職する際、「5つの力分析」を用いて合理的に判断したと語っています。私も山口氏と同世代ですから当時の状況はよく覚えていますが、電通(およびテレビ業界)といえば学生にとって最も人気のある就職先でした。待遇面でも仕事の華やかさや影響力においても、この業界は群を抜いていました。その電通がインターネットの出現により、代替品の脅威に晒され、将来的に衰退すると見抜いて離脱するという決断(当時の電通社内では「日本にはインターネットは普及しない」などという悠長な意見が囁かれていたそうです)。これは「思い切り」ではなく、分析によって得られた確信によるものです。

私自身もかつてビジネススクールに通い、様々なフレームワークを学んだものでした。
この知恵を身に付ければ自分の状況を劇的に変えられるのではないか。そんなサクセスストーリーを夢見ていました。
ところが、現実はそれほど甘くはありません。
経験ゼロから社会保険労務士として開業した後、顧客開拓という目的のために私はたくさんの判断を下してきましたが、熟考したつもりの選択がうまくいかないことも多く、「論理的に考えた結果でも失敗する」ことを実に何度も経験させられたのです。

第三の条件:不確実性の中でのどう決めるか?
つまり、情報も分析も尽くした上でなお、未来は不確実であり、予測不能です。
ビジネススクールで学んでから10年以上が経ちました。
今の私にとってこの点で支えとなっているのは、マネジメントゲームで学んだ「まずやる、後で直す」という考え方です。

たとえばMGという何万円も掛かるセミナーがあって興味を惹かれるが、それが本当に役に立つかがわからない。もしも役に立たなければ大損だ! どうしよう!

これは受講する前の私が実際に考えていた内容です。愚かすぎますね!

おそらく私は無意識にゼロリスクを求めてしまっていたのでしょう。MGを受講する前の私はかように薄っぺらい決断力しか持ち合わせていなかったことがよくわかる事例です。この時の私は以下のように考え直して思考の袋小路から脱出したのでした。
・いんちきセミナーに一回くらい参加したからといって、死ぬわけではない。
・お金は勿体ないが、大当たりのセミナーに一生出会えなくなるのに比べたらどうか?

世の中にはやってみなければ分からないことはたくさんあります。だからこそ、ある程度の損失を「学びの対価」として許容する力が必要――それが不確実性の中で進むために必要な「リスク許容力」です。

MGでもリスクカードが存在します。MGでは、カードの枚数や確率は簡単に調べることが可能なので、「水族館での釣り」のように分析が可能です。
しかし、現実のビジネスは「大海原の釣り」と同じで、確率や期待値が事前にわかることはほとんどありません。このような環境のことを「複雑系」と言い、現実のビジネス環境は大抵がそういう状況です。
そんな中で成果を出すには、情報や分析に加え、「小さく試す→結果を見る→改善する」という実践的な試行のサイクル、つまり「試行知」が不可欠です。

「まずやる、後で直す」という考え方は不確実性に対処するために必要な「リスク許容力」と「試行知」を含んでおり、これらは近年注目されている「デザイン思考」「リーンスタートアップ」「エフェクチュエーション」にも通ずるところがあります。

本物の決断力とは、精神論ではなく、極めて知的なプロセスです。
情報を集め、論理的に分析し、それでもなお残る不確実性に対して、「まずやってみる」という行動力と、「試しながら学ぶ」柔軟性が求められます。

この「試行知」こそが、VUCAの時代に必要な決断力の正体であり、未来を切り開くために不可欠な力だと私は考えています。

あなたの決断は、「知的なあがき」の上に築かれていますか?

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